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2014 年 6 月 のアーカイブ

無添くら寿司の「くらオーダーレーン」

無添くら寿司には、通常のレーンとは別に、「くらオーダーレーン」という、注文品用のレーンを備えた店舗がある。

このレーンは通常のコンベアのレーンとは違って、ループすることなく直線状になっており、注文品がダイレクトに客の目前に届けられます。超特急で寿司の皿やラーメンなどが届くのを見るのは楽しいものだ。

ただ、このレーンは通常のレーンの上段にあるため、注文用のタッチパネル(iPadが採用されている)はさらに高い位置にある。そのため、平均的な身長の男性では、腕をめいっぱい伸ばさないとタッチパネルが操作できない。小柄な女性であれば、少し立ち上がった中腰の姿勢じゃないと、操作は難しいだろう。

つまり、困ったことに、結果的にタッチパネルで注文がしにくくなっている。もしこれが、客からの注文回数をできるだけ抑えることを狙ったものであるなら、それは本末転倒の思考と言える。こういった注文システムは、口頭での注文のやり取りをなくすことで、客が食事そのものに没頭できるようにと開発されたシステムだ。「注文回数を抑えたかったから、注文しにくい体勢になるようにしました」ではその意図に逆行してしまう。

これが単に、現在のシステムにおける妥協の産物であって、いずれ改良される予定であることを期待したい。

また、通常のレーンでは、寿司の皿の上に丸い透明のカバーがかぶさっている。これは寿司の鮮度の維持に非常に役立っているが、これが大量にキラキラしながら客の視界内を動いているので、感覚的には結構気になる。寿司のおいしさ自体はトップクラスなのだが、「視覚」がビジーになって「味覚」に集中できない感じだ。その結果、普通のカバーのないシステムに比べて、「おいしいものを食べた」と言う印象が残りにくいと感じた。

新しい技術にはメリットもデメリットもあり、どこでバランスを取るのかは本当に微妙な感覚が必要になる。ただ、くら寿司のように、積極的に最新技術を導入して「食のテーマパーク」を実現しようとする姿勢があれば、システムに多少のデメリットが見えても、おのずと客はついてくるものだ。ジョブズ時代のAppleのように。

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