SONY MDR-CD900STのイヤーパッド問題
音質は最高だが、耳が痛い
MDR-CD900STは頭にライン入力端子を付けたかのような超ダイレクトな最高音質のモニターヘッドフォンだが、イヤーパッドが薄いためにすぐに耳が痛くなる。
一時間も聴いていると、耳の痛みで変な汗が出てきて、ただでさえとんがった音質が、さらに刺さるように聴こえてくる。耳の痛みが音の印象に影響を与えるのはよろしくないということで、イヤーパッドの交換を模索するようになる。
イヤーパッドを交換してみる
MDR-CD900STは業界標準と言われるモニターヘッドフォンであり、使えるイヤーパッドも多い。以下のイヤーパッドに交換して試してみた。
audio technica HP-M50xBK
アメリカで、日本におけるMDR-CD900STのような存在らしいaudio technicaのATH-M50x用のイヤーパッド。MDR-CD900STとの相性がいいと聞いて試してみたら、確かに極端な音質の変化は感じられず、悪くない。
SONY 2-115-668-03
SONYのもう一つの標準的なモニターヘッドフォンであるMDR-7506用のイヤーパッド。同じメーカーのものなので相性がいいと思ったが、スポンジが上記のaudio technica HP-M50xBKよりも固く、耳がきっちりホールドされるためか、より高音がこもる。ドライバーの間のメッシュも標準パッドよりもだいぶ厚く、根本的に仕様が異なる印象。
YAXI stpad-DX-LR
低反発ウレタンを使っているため、装着感は快適でパッドの密着度・密閉度がとても高い。そのためか上記のSONY 2-115-668-03と同様に、高音がこもる印象。
YAXI stPad2-LR
上記のYAXI stpad-DX-LRのようなパッドが柔らかくてフィットする方式とは違い、パッドの開口部が大きく耳を完全によける形状となっている。装着感は快適でありながら高音がこもったり減衰することもなく、MDR-CD900STの標準イヤーパッドにかなり近い音質。
さらに、標準イヤーパッドに見られる、ドライバーユニットが耳に接触して直接振動させることによるバリバリした感触が解消されており、音がよりクリアーに聴こえる。
密閉型のイヤーパッドはMDR-CD900STでは音がこもる
これは、MDR-CD900STの標準イヤーパッドの、密閉度が低く音漏れが大きい仕様が原因である。これを前提にドライバーの音質が設定されているため、通常の密閉型のイヤーパッドに交換すると音が反響しすぎてこもってしまう。MDR-CD900STとしては、密閉度や密着度が低いイヤーパッドの方が相性がいい。
YAXI stPad2-LRが最適
YAXI stPad2-LRの場合は密閉型なのになぜ音がこもらないのかというと、パッドの後ろ半分がアルカンターラ素材となっており、音の反響を大幅に逃がしているためである。パッド内の空間は密閉型イヤーパッドとしてもかなり大きいにも関わらず、音が反響によってこもらないこの製品は、まさしくMDR-CD900ST用として最適化されているように見受けられる。
また、MDR-CD900ST用としては高音がこもるイヤーパッドも、通常の密閉型ヘッドフォン用としてはいい製品である。筆者の場合、audio technica ATH-M50xはヘッドフォン自体の側圧が強いため、標準パッドからYAXI stpad-DX-LRに交換して使っている。